2013年4月14日日曜日

幻の原稿袋(たぶん二代目)と消しゴムお亜季

神楽坂artdishで開催中の原画展「花の輪廻」初日に、久世光彦夫人の朋子さんが来てくださった。お会いするといつも上村一夫の思い出話をしてくださる朋子さん。
語られるエピソードはどれも優しかった上村一夫のことばかり。こちらがグッときてしまうような。どうやら上村一夫は朋子夫人(いい女)に格別優しかったようだ。
そんな朋子さんが原画展初日に持って来てくださった「乱華抄」のサイン本。
字がよれよれしているので、酔っていたのかな。ありがたくお預かりする。



その後、ギャラリーで開催した渚ようこさんのライブにもお越し頂き、その時またまた貴重な品をお持ちいただく。それは先日朋子さんがいらしたときに雑談した原稿袋のこと。今回展示販売している原稿袋の前に確か赤いデザインの袋があったような気がする、とお話したところ、朋子さんはそれをお持ちだとおっしゃる。そしてライブの日に本当に持ってきてくださった。記憶では白と赤だったが、実際は茶封筒の色と赤だった。内側には一代目と同じ男と女のからみ絵が。でも一代目とは微妙にデザインが違う。 名前も入っている。ひょっとしたら幻だったのかもしれないと半分諦めていた二代目の存在をこうして手にすることができて嬉しい。朋子さんありがとうございます。




そして、さらに。
袋の中に何かある。
いしだあゆみさんと思われる女性の絵だった。
後ろを見ると「消しゴムお亜季」とある。その場にいらした渚ようこさんに聞いてみたところ、もちろん彼女は知っていた。さすがだ。久世さんが演出したドラマで、他人の過去を消すことを生業にしている女の話という。恐ろしい。 後で調べたところ、ドラマの放送は1985年からとあるので、上村一夫が亡くなる少しに描いたものであろう。何のために描いたのか、など不明だが、このように本人に似せて描くのも珍しい。貴重だ。




人生は短いが残した作品はこうしてどこかで生きていて、時々ひょっこり戻ってくる。いくつかの物語を携えて。その度に上村一夫の息づかいを絵から感じ震えるのだ。